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 即席映画狂

 ※黄金時代の日本映画を、にわかマニアが2020年代からランダムに振返る。
  時にお節介に、データの押売が鼻につくも、御容赦。
  脚本、プレスシート、キネ旬等の資料を鵜呑みにせず、鑑賞による検分にて。
  各作品を観ていない方に、梗概を説明する趣旨ではありません。
  観終わった後で、思い出す助けにでもなれば。

鬼笑介氏

【170】
彼岸花(1958)



【00】シリーズ刑事物語(1960〜61) →【早見表】


【64】硝子のジョニー 野獣のように見えて(1962)
 ※2025.8.6〜12 ラピュタ阿佐ヶ谷

【02】現代っ子(1963)
 ※2025.8.13〜19 ラピュタ阿佐ヶ谷

>【68】月曜日のユカ(1964)
 ※2025.8.17〜23 ラピュタ阿佐ヶ谷



  ▼目次▼ →第四部【201〜】 →第三部【151〜】 →第二部【101〜】 →第一部【01〜100】

【206】薔薇の木にバラの花咲く(1959大映)監督;枝川弘
  →
【207】 →【205】

 今回の若尾文子は、大学英文科4年生。
 才色兼備だが苦学生。父は戦死、母は空襲で死亡。たった一人の肉親は、姉の
ギンコ・角梨枝子
 角は、赤線の廃止前は洲崎の遊女だった。甲斐性なしの情夫ノセ・守田学から
逃れて若尾を頼ったが、狭い下宿での居候は到底かなわず、友人を頼って新宿は
花園神社裏で再び商売女になるのだった。
 若尾には、頼りになる先輩、大学院生の川崎敬三がいて、共に尊敬しあうなか
なかイイ関係になっている。ところがそこに、若尾の家庭教師先で知り合った、
新進気鋭のハンサムな建築家、しかも財界大物の御曹司カノウ・田宮二郎が現れ
る。田宮は若尾に猛アタック。敬三がぼやぼやしている間にプロポーズ、一夜を
共にしてしまうのであった。もう今までの三枚目・柴田吾郎じゃない、スター候
補の田宮二郎サマだ!

 さて、若尾や敬三の通うキャンパスのロケは東大、と云っても、公衆衛生院
(現・港区立郷土歴史館)と並び立つ白金校舎。内田ゴシックとして知られる威
容。この頃の映画には、大学構内としてたびたび登場する。本作では比較的に、
登場シーンが多い。室内シーンはセットかな。
 偶然にも、「薔薇の木に薔薇の花咲く」の出典は、北原白秋の詩集「白金之独楽
(はっきんのこま)」だそうで。
 ただし、敬三たち学生が住む下宿屋セット「石川屋」は、いかにも、東大本部
に近い本郷のイメージだし、若尾が二階借りするオンボロ家に「文京区菊坂町75」
という標識があることからもわかるように、大学ロケ地は港区白金でも、設定は
文京区本郷ということになろう。
 ちなみに、この菊坂町75番地というのは、古の宮沢賢治の下宿所在地である。
若尾が下りてゆく坂は、坪内逍遥旧居跡の下、炭団坂。若尾の下宿の前の坂につ
ながっているように見えるが、下宿の玄関は、少しだけ離れた菊坂の裏。
 作中、新宿の角梨枝子から若尾に届くハガキ。字が下手くそで全部は読み取れ
ないが、何故かここでは若尾の下宿先が、板橋区志村清水町となっている。
 若尾が家庭教師の仕事を紹介された資産家、村田知栄子奥様の瀟洒な洋館は、
これも手紙の差出住所によれば、世田谷区成城町39番地。
 家庭教師をクビになって、務める工場はペン先の「日光ペン」!
 機械からざらざらと出てくるペン先はかぶらペンだけれど、日光と云えば、私
のようなかつてのマンガ少年にとっては、Gペンが懐かしい、おっとこれは余談。

 若尾とは正反対に、ずるずると男のいいなりに生きる憐れで不憫な女を、角
梨枝子が好演。
 柴田吾郎から名を改めて、“新人”クレジットの田宮二郎、貴公子ぶりはすで
に完成品、若尾のデリカシーを理解できなくても仕方ない。
 若尾と敬三の学友、入江洋佑が、打算的で如才ないC調学生役で活躍。

 田宮二郎が設計した伊豆の別荘。「施主」のお嬢様・浜田ゆう子の勝手な設計
変更を烈火のように怒って、自ら直すほどの思い入れを持った意欲的な作品。と
ころが、室内セットのクロス(壁紙)が浮いていたり、全体に安普請な仕上りな
のだ……、いや、これも余談。
 そして、もう一つ大発見。学食の壁に学生演劇のポスターが貼ってあって、タ
イトルが「トミーとメアリー」。これは、「娘の冒険」(1958大映東京/島耕二)
で、川口浩と野添ひとみの共演する城南大学劇研の芝居だ。演出家は根上淳。両
フィルムとも、美術は下河原友雄。

   ▲ページ冒頭▲  →前【205】


【201〜】即席映画狂 第4部

【205】お嬢さん三度笠(1960)
【204】人生劇場 飛車角(1963)
【203】地獄の波止場(1956)
【202】獣のいる街(1958)
【201】警視庁物語 12人の刑事(1961)

  本頁頭▲ ▼第三部目次最後尾【151】

  →【01】七人の刑事 終着駅の女(1965)

【200】香港ノクターン(1967)
【199】赤ちゃん特急(1956)
【198】私はモスクワを歩く(1963)
【197】高校生芸者(1968)
【196】星の瞳を持つ男(1962)
【195】一心太助 天下の一大事(1958)
【194】大巨獣ガッパ(1967)
【193】東京マダムと大阪夫人(1953)
【192】ニコヨン物語(1956)
【191】花札渡世(1967)
【190】東京犯罪地図(1956)
【189】陸軍落語兵(1971)
【188】刑事物語 犯行七分前(1961)
【187】刑事物語 ジヤズは狂っちゃいねえ(1961)
【186】刑事物語 殺人者(ころし)を挙(あ)げろ(1960)
【185】素浪人罷通る(1947)
【184】狙われた男(1956)
【183】愛と希望の街(1959)
【182】泉へのみち(1955)
【181】明日の夢があふれてる(1964)
【180】うわきのすすめ 女の裏窓(1960)
【179】三羽烏三代記(1959)
【178】恋とのれん(1961)
【177】霧の旗(1965)
【176】風の視線(1963)
【175】点と線(1958)
【174】警視庁物語 108号車(1959)
【173】有りがたうさん(1936)
【172】喜劇急行列車(1967)
【171】カミカゼ野郎 真昼の決斗(1966)
【170】彼岸花(1958)
【169】日本のいちばん長い日(1967)
【168】風の中の子供(1937)
【167】太陽を抱く女(1964)
【166】七人の刑事 女を探がせ(1963)
【165】月給¥13,000._(1958)
【164】○秘 ハネムーン 暴行列車(1977)
【163】学校(1993)
【162】朝を呼ぶ口笛(1959)
【161】猫と庄造と二人のをんな(1956)
【160】暁の翼(1960)
【159】どろ犬(1964)
【158】幌馬車は行く(1960)
【157】ワニと鸚鵡とおっとせい(1977)
【156】虹をわたって(1972)
【155】当りや大将(1962)
【154】暖春(1965)
【153】軍国酒場(1958)
【152】独立愚連隊(1959)
【151】音楽喜劇 ほろよひ人生(1933)

  ▲第三部目次頭▲ ▼第二部目次最後尾【101】

  →【01】七人の刑事 終着駅の女(1965)

【150】あした晴れるか(1960)
【149】反逆兒(1961)
【148】喜劇 男は愛嬌(1970)
【147】鏡の中の裸像(1963)
【146】わんぱく天使(1963)
【145】千羽鶴(1953)
【144】(あす)明日をつくる少女(1958)
【143】電話は夕方に鳴る(1959)
【142】はだかっ子(1961)
【141】野を駈ける少女(1958)
【140】若い恋人たち(1959)
【139】有頂天時代(1951)
【138】姉妹(1955)
【137】花嫁の抵抗(1958)
【136】警視庁物語 十五才の女(1961)
【135】白い閃光(1960)
【134】続ますらを派出夫会 お供は辛いネの巻(1956)
【133】冷飯とおさんとちゃん(1965)
【132】関の彌太ッぺ(1963)
【131】ゆうれい船 前篇/后篇(1957)
【130】三等重役(1952)
【129】芸者学校(1964)
【128】夕陽に赤い俺の顔(1961)
【127】ジャズ・オン・パレード ジャズ娘乾杯!(1955)
【126】カレーライス(1962)
【125】おヤエのママさん女中(1959)
【124】新幹線大爆破(1975)
【123】警視庁物語 全国縦断捜査(1963)
【122】警視庁物語 聞き込み(1960)
【121】警視庁物語 血液型の秘密(1960)
【120】警視庁物語 遺留品なし(1959)
【119】四畳半物語 娼婦しの(1966)
【118】雲がちぎれる時(1961)
【117】水溜り(1961)
【116】ある見習看護婦の記録 赤い制服(1969)
【115】男はつらいよ(1969)
【114】警視庁物語 顔のない女(1959)
【113】刑事物語 知り過ぎた奴は殺す(1960)
【112】刑事物語 前科なき拳銃(1960)
【111】吹けば飛ぶよな男だが(1968)
【110】刑事物語 銃声に浮かぶ顔(1960)
【109】名もなく貧しく美しく(1961)
【108】接吻泥棒(1960)
【107】一刀斎は背番号6(1959)
【106】やさぐれ姉御伝 総括リンチ(1973)
【105】女の暦(1954)
【104】刑事物語 東京の迷路(1960)
【103】警視庁物語 深夜便130列車(1960)
【102】東京のバスガール(1958)
【101】新東京行進曲(1953)

  ▲第二部目次頭▲ ▼第一部目次最後尾【01】

  →【01】七人の刑事 終着駅の女(1965)

【100】君も出世ができる(1964)
【99】父子草(1967)
【98】地方記者(1962)
【97】花のお江戸の法界坊(1965)
【96】童貞先生行状記(1957)
【95】駅 STATION(1981)
【94】大いなる驀進(1960)
【93】三十六人の乗客(1957)
【92】高度7000米 恐怖の四時間(1959)
【91】キングコング対ゴジラ(1962)
【90】かも(1965)
【89】警視庁物語 ウラ付け捜査(1963)
【88】拳銃0号(1959)
【87】希望の乙女(1958)
【86】旅情(1959)
【85】人間に賭けるな(1964)
【84】日本暴力列島 京阪神殺しの軍団(1975)
【83】東京湾(1962)
【82】野獣狩り(1973)
【81】ひとりぼっちの二人だが(1962)
【80】ギャング同盟(1963)
【79】明日は月給日(1952)
【78】もぐら横丁(1953)
【77】好人物の夫婦(1956)
【76】愛情の都(1958)
【75】警視庁物語 行方不明(1964)
【74】喜劇 男の泣きどころ(1973)
【73】橋(1959)
【72】東京の恋人(1952)
【71】特急三百哩(1928)
【70】アリバイ(1963)
【69】私は負けない(1966)
【68】月曜日のユカ(1964)
【67】おんなの細道 濡れた海峡(1980)
【66】続・酔いどれ博士(1966)
【65】ダニ(1965)
【64】硝子のジョニー 野獣のように見えて(1962日活)
【63】誘惑(1957)
【62】集金旅行(1957)
【61】ゴジラ(1954)
【60】閉店時間(1962)
【59】山鳩(1957)
【58】次郎長社長と石松社員(1961)
【57】サザエさんの青春(1957)
【56】背後の人(1965)
【55】重役の椅子(1958)
【54】川のある下町の話(1955)
【53】泣いて笑った花嫁(1962)
【52】はだしの花嫁(1962)
【51】のれんと花嫁(1961)
【50】ふりむいた花嫁(1961)
【49】わたしの凡てを(1954)
【48】愛人(1953)
【47】花嫁のおのろけ(1957)
【46】恋人(1951)
【45】33号車応答なし(1955)
【44】真田風雲録(1963)
【43】嵐を呼ぶ楽団(1960)
【42】目白三平物語 うちの女房(1957)
【41】人形佐七捕物帖 めくら狼(1955)
【40】流れる(1956)
【39】結婚のすべて(1958)
【38】踊りたい夜(1963)
【37】風流温泉日記(1958)
【36】喧嘩鴛鴦(1956)
【35】早射ち野郎(1961)
【34】香華(こうげ 1964)
【33】その壁を砕け(1959)
【32】おかあさん(1952)
【31】愛染かつら 総集篇(1938・39)
【30】赤い鷹(1965)
【29】人間狩り(1962)
【28】[シリーズ]事件記者(1959〜1962)
【27】地図のない町(1960)
【26】黒い画集 あるサラリーマンの証言(1960)
【25】吹けよ春風(1953)
【24】彼奴を逃すな(きゃつをにがすな 1956)
【23】我が家は楽し(1951)
【22】花ひらく娘たち(1969)
【21】麦秋(1951)
【20】浮草(1959)
【19】鉄砲玉の美学(1973)
【18】最後の切札(1960)
【17】黄色いさくらんぼ(1960)
【16】空の大怪獣 ラドン(1956)
【15】涙を、獅子のたて髪に(1962)
【14】特急にっぽん(1961)
【13】時をかける少女(1983)
【12】幸福の黄色いハンカチ(1977)
【11】お国と五平(1952東宝)
【10】可愛いめんどりが歌った(1961)/夢でありたい(1962)
【09】充たされた生活(1962)
【08】人間蒸発(1967)
【07】若い樹(1956)
【06】こだまは呼んでいる(1959)
【05】抱かれた花嫁(1957)
【04】新・事件記者 殺意の丘(1966)
【03】空かける花嫁(1959)
【02】現代っ子(1963)
【01】七人の刑事 終着駅の女(1965)


  
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