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■即席映画狂■ 本稿執筆途中 2023.11.19
【201-1 上】警視庁物語 12人の刑事(1961ニュー東映東京)監督;村山新治
→【201】概要(即席映画狂) →【201-2 下】後編 →【202】 →【200】
→【114】警視庁物語 顔のない女(1959)
→【174】警視庁物語 108号車(1959)
→【120】警視庁物語 遺留品なし(1959)
→【103】警視庁物語 深夜便130列車(1960)
→【121】警視庁物語 血液型の秘密(1960)
→【122】警視庁物語 聞き込み(1960)
→【136】警視庁物語 十五才の女(1961)
【201】警視庁物語 12人の刑事(1961)
→【89】警視庁物語 ウラ付け捜査(1963)
→【123】警視庁物語 全国縦断捜査(1963)
→【75】警視庁物語 行方不明(1964)
東映東京撮影所の人気シリーズ、長谷川公之原作「警視庁物語」第17作。
松島のホテルで女性の絞殺死体が発見される。犯人は、同宿した男と推定。
所轄は塩釜署(宮城県警)、「松島グリーンホテル殺人事件捜査本部」。後に、
警視庁に「應援本部」が置かれ、宮城県警の大村文武と波島進が派遣される。
迎える警視庁捜査一課、おなじみ神田隆を筆頭に、堀雄二、花沢徳衛、須藤健、
山本麟一、千葉眞一、佐原広二。
他に、名古屋の中山昭二、三島のシーンで南廣。ここまでで11人。後の1人は、
定かでない。宣伝用のスチール写真よれば、宮城県警の主任、石島房太郎。
現場に残された指紋に前科無し。有力な遺留品は「白浜 南海荘」と銘のある
石鹸箱。
ロールアップするオープニングのクレジット、キャストは例によって堀雄二に
始まり、千葉眞一、大村文武、南廣……、トメに佐久間良子。
物語を深める事象に、プロ野球、パチンコ、留守番、そして片親。
事件発覚から6日目にようやく解決、松島の捜査を振り出しに東京、そして名
古屋にも出張。
クライマックスの捕物は、にぎわう夜の新橋駅前広場。
佐原「主任、ボクはまた留守番ですか?」
神田「ふふ、アタシもだよ、ハッハッ。」
おなじみ神田隆班。今回は、警察犬像の鎮座する警視庁2階ホールに面した12
号室を捜査本部として陣取る。おそらく、日活の「事件記者」(1959山崎徳次郎)
の冒頭、山田吾一に騙されて沢本忠雄が侵入してドヤされる会議室がここ。
留守番役の新米タカツ・佐原広二は、カネコ・山本麟一に対等の口のきき方を
するので、刑事としては山麟が先輩だが、警察学校はおそらく同期。
土地のボス・食えない永田靖に、野球の話題で取り入るタイコモチ・須藤健、
実はアンチ巨人。4番長嶋、5番王で絶大な人気の読売ジャイアンツだが、「無
性に巨人が嫌い」というアンチ巨人の存在は当時からいるのである。
ベテラン刑事ハヤシ・花沢徳衛は、キャラメル有り、「なーんとねえ」有り。
ゴム加工工場で、乳パッドをもてあそんで笑われるシーンの他、終盤、犯人の彼
女に、犯人に自首するよう説得する重要な役回り。
7月頭とはいえ猛暑の中、本部に泊まり込みの続く刑事たち。神田隆も最後に
は、肌着のシャツ一丁。
波島「ハヤシさん、それ……。」
徳衛「あ、こりゃニセおっぱいか!」
イワタデンキの工場、クレジットもセリフある岡部正純、まさかの後頭部のみ
出演。あの特徴ある出っ歯を映さない、村山監督おそるべし。
【キャスト】 ▼舞台▼ ▲ページ冒頭▲
神田隆………警視庁捜査一課、主任、愛飲するハッカタバコmidori
堀雄二………同、部長刑事ナガタ「長田」
花沢徳衛……同、ベテラン刑事ハヤシ「林」
須藤健………同、野球狂刑事ワタナベ「渡辺」ハンチングに蝶ネクタイ
山本麟一……同、名古屋出身刑事カネコ「金子」、水虫容疑
千葉眞一……同、おそらくエリート若手刑事ナカガワ「中川」
佐原広二……同、留守番刑事タカツ
石島房太郎…宮城県警、課長、捜査主任
大村文武……宮城県警部長刑事オガワ「タンテイチョウ」、東京に派遣
波島進………宮城県警刑事イケモト「池本」、東京に派遣、浮かれ気味
打越正八……宮城県警の刑事「打越」、ハンチング、岡野と組んで聞込み
岡野耕作……宮城県警の刑事、打越と組んで聞込み
沖野一夫……宮城県警の刑事「沖野」、久保と組んで聞込み
久保一………宮城県警の刑事、サファリ帽、沖野と組んで聞込み
大木史朗……宮城県警の刑事、佐原広二的留守番役
中山昭二……愛知県警刑事、山麟の中学同期、べたべたの名古屋弁
南廣…………三島(静岡県)の食堂に張込む刑事アズマ「東」(黒板には神奈川県警)
関山耕司……上野署の刑事、くのやの駆け落ち番頭&女中を取り調べ
曽根晴美……「川崎一郎」、パチンコの釘師、元プロ野球二軍選手
佐久間良子…曽根の彼女・カオル、三島「宮春食堂」の娘
原泉…………曽根晴美の母「川崎キヨ」
宮園純子……被害者の妹・タニグチ「弓子」
殿山泰司……被害者の父
戸田春子……被害者の母
山崎直衛……被害者の妹の婚約者「野村芳夫」、東品川のガラス工場の息子
中村是好……曽根・原夫婦の家の近くの防犯委員、盆栽が趣味
不忍郷子……是好の妻
小川守………是好の息子・ノブヒコ、学生
愛川かおる…松島観光汽船、ガイド嬢
田中恵美子…松島観光汽船、松島桟橋の出札嬢
菅原壮男……「松島グリーンホテル」のボーイ
相馬剛三……塩釜・旅館「くの屋」の番頭、被害者を客引き
檜侑子………塩釜・旅館「くの屋」の女将
滝島孝二……千葉白浜の駐在「千葉県警千倉警察署 白浜町白浜駐在所」
小甲登枝恵…駐在・滝島の内儀、腹ボテ
永田靖………千葉白浜の旅館「南海荘」主人、大の野球好き、特に巨人ファン
谷本小代子…南海荘の元・女中キヌ、被害者とおぼしき客に遺留品の石鹸箱を進呈
小島一郎……イワタ電機工場の工員
岡部正純……イワタ電機工場の工員、まさかの後頭部からのショット
佐藤晟也……後楽園球場のビール売り子、妹が遺留品と同じ石鹸箱持って旅行中
滝謙太郎……パチンコ屋ラッキーの支配人、ポマード頭の温厚な男
小林寛………名古屋郊外のパチンコ工場の工員・アオタ
春日千里……三島「宮春食堂」の女将、カオル・佐久間良子の母
潮健児………流れ釘師・ハラヤマジロウ
※プレスシートには「菅井きん」「滝川潤」の名前があるが、クレジット、実際の
出演ともに無し。
▲ページ冒頭▲ ▼ページ末尾▼
【登場する場所】(設定・ロケ地)
松島海岸「グリーンホテル」
塩釜警察署
松島観光汽船
松島界隈(松島海岸駅、瑞巌寺・参道二高十英霊碑、ヘルスセンター、動物園・水
族館、松島公園タクシー、海岸)
本塩釜駅(国鉄仙石線)
塩釜「久乃屋」旅館
警視庁
千葉県千倉警察署 白浜町白浜駐在所
千葉白浜「南海荘」旅館(野島埼灯台近く、実在)
イワタデンキ工場(都内某所)
後楽園球場(巨人・大洋戦)
トウキョウゴムカコウ工場(都内某所)
ガラス工場(宿帳によれば品川区東品川3-25)
被害者の自宅(おそらくガラス工場の近くか?)「スラムのようなところ」徳衛
パチンコラッキー
愛知県警
名古屋・平和公園
名古屋郊外・パチンコ工場(平和公園の先、千種区あたり)
名古屋・ストリップ「ドラゴン」(屋内)
蒲田駅
蒲田・パチンコひかり
上野警察署(屋内シーンのみ)
川崎一郎・キクの家(黒板によれば西新井、足立区)町名板に「梅田町」
川崎一郎の勤務先「阿部運輸」(黒板によれば三田、港区)前が都電通り
カオル・佐久間良子の勤務先「宮春食堂」(セリフ・黒板に三島、静岡県)
小田原付近、トラック乗り捨て現場
新橋駅前広場(街頭テレビで東映フライヤーズ対西鉄ライオンズ)
◆◆捜査の行方◆◆ ▲キャスト▲ ※捜査中、随時加筆 2023.11.17
[ニュー東映マーク(煙を吹く噴火口)]
[スタッフ/キャスト/監督]
不吉な音楽に乗って、下からロールアップしてくる、スタッフと出演者。
キャストは、堀雄二を筆頭に、千葉眞一、大村文武、南廣、中山昭二、波島進、
7番目に曾根晴美。トメが佐久間良子
[プロローグ]
日本三景、天橋立、安芸の宮島、そして宮城県の名勝、松島。
年間250万人を下らない観光客は、海岸の宿に1泊すると、翌朝にはもう、
先を急いで帰ってゆく。
しかしここに、昼を過ぎても起きてこない泊り客。ホテルのボーイが鍵を
開けて、毛布をかぶった客を起こそうとする。
「モシモシ、おチゃくさん。」
反応がない客の首元に、ブラインドのひもが伸びているのを見て、ボーイ
が驚く。
[タイトル]※「十二人」ではなく、アラビヤ数字で「警視庁物語 12人の刑事」
[1日目]7月10日 ▼2日目▼ ▲キャスト▲
●松島グリーンホテル客室
7月10日昼過ぎ発覚 殺人事件
場所;宮城県「松島グリーンホテル」の客室。
ボーイが発見した、ベッドに横たわる遺体。
窓のブラインドのひもが絡んでいた。
第一発見者、ホテルのボーイ・菅原壮児
被害者
・28,9歳と思われる女性
・絞頚による窒息死。(死亡推定時刻についての言及無し)
同宿者は、25,6歳くらいの浅黒い細面(ほそおもて)の男。
ホテル形式で、担当女中などがいないので、詳しい様子がわからないという。
前夜からアベックで1泊
宿泊カードには
・山田一郎 25歳 名古屋市中区伊勢町1-3 前泊;仙台 後泊予定;花巻
・山田信子 28歳 名古屋市中区伊勢町1-3 前泊;仙台 後泊予定;花巻
遺留品
・完全指紋3個→前科なし
・東京上野・「新進堂」名入りの靴ベラ
・東京・赤木洋品店のスタンプのあるハンカチ
・十三夜製紙のちり紙
・「白浜・南海荘」という名入り石鹸箱
【演出上の不思議】★宿帳に書かれた被害者の現住所を、愛知県警に照会した形
跡がない。
●夜の捜査本部
前述の手掛かりを基に、ズーズー弁で論じ合う刑事たち。
大木がガイシャ(被害者)の写真を持ってくる。
波島「やあやあ、こったらめんこい顔して殺されるなんてまったく……。」
遺留品の出どころの調査に並行して、刑事たちは、被害者の足取り捜査。使っ
た可能性のある交通機関や、立ち寄ったかもしれない観光地で目撃者を探すよう、
主任・石島が指示を出す。
大木「旅の捜査は長引くといいますが……。」
12人にはカウントされない大木史朗だが、他の県警脇役刑事より役はランク上、
セリフあり。警視庁の佐原広二同様の下っ端・留守番刑事だが、次回作から佐原
の後釜に座る。
[2日目]7月11日 ▼3日目▼ ▲キャスト▲
捜査本部設置 塩釜まつり初日、八角神輿
塩釜署「松島グリーンホテル殺人事件捜査本部」
捜査主任は、宮城県警捜査第一課長・石島房太郎
大村文武、波島進、打越正八、岡野耕作、久保一、沖野一夫、大木史朗、以上
が私服刑事。
★ホテルの現場検証から、塩釜署のシーンにつながるので、その日のうちに本部
が置かれたように見えるが、聞き込みシーンで「おととい」と言っていること
からも、事件翌日である。
現場最寄りの国鉄(現JR)仙石線「松島海岸駅」、自転車の文武と波島。
打越・岡野コンビは、瑞巌寺、動物園・水族館、松島公園タクシーへ聞込み。
沖野・久保コンビは、ヘルスセンター、街頭写真屋の立つ海岸へ。
「松島観光汽船」の松島桟橋で聞込みする文武。出札窓口嬢・田中恵美子から
は、被害者の写真に心当たり無し。しかし、営業所の男は、18時のチェックイン
から考えると、本塩釜からの最終便でついた可能性が高いだろうと推測。その、
当日の最終便に使われた「第七松島丸」が、今まさに接岸しているときいた文武、
桟橋で店開きする婆さんに聞込み中の波島を急かして、出航直前の観光船に飛び
乗る。
波島「タンテイチョウ、自転車!」
●「第七松島丸」キャビン ガイド嬢・愛川かおる
愛川に、名所案内のアナウンスを縫って、聞込みする文武と波島。
1等客室の客に、被害者らしい女性と、男性のアベックがいたという。
愛川「あ、ちょっとお待ちください、『右手に見えてまいりました
のは仁王島でございます。』」
・女の「スーツケース」には塩釜の旅館・クノヤのレッテルが貼って
あった
、
という証言を得る。
※映画の観客向けに、材木島、仁王島、鳳凰をかたどった神輿船の船団などの
映像のサービス。
「荒い波風膝元受けて、波を座席の仁王島」
ガイドで中断する度、がっかり崩れる刑事二人、でも神輿の船団には思わず
目をやる。
愛川「あのお客さん、塩釜さ泊まったんでねえすか?」
文武「どうしてわかった?」
愛川「どうしてって……、ちょっとお待ちください。」
●塩釜「くの屋旅館」(久乃屋) 大村、波島
応対する丸メガネの番頭・相馬剛三、女将・桧侑子。
・相馬が、本塩釜駅で乗越し精算した客をひいてきた、その女性だという。
そのアベック客を担当した女中(盗癖あり)に聞込みをしようとしたら、な
んと、客の指輪を盗んで、相馬が一緒に客引きをした先輩の番頭と、昨日、
一緒に駆け落ちして行方知れず。
※着駅で精算している客は、宿が決まっていないに違いない、と先輩番頭に言
われた、と相馬。
●国鉄本塩釜駅
東京から仙台までの切符で乗越し精算をしたアベックを駅員が覚えていた。
・8日18:50着の下りで下車した。
2枚の切符を押収する。(日付7.8)。
、
●夜の捜査本部
・遺留品のちり紙からは足取りつかめず。
取扱店を特定したが、売った形跡なし。
・南海荘は、千葉の白浜と判明。
※内房、現・南房総市、野島埼灯台で有名な観光地。
・靴ベラとハンカチは、「東京警視庁」の報告待ち。
被害者と容疑者は東京から来たとみられるため、県警刑事部長は、東京警視庁
に本部設置をすることにした。
というわけで、課長・石島は、「タンテイチョウ」オガワ部長刑事・大村文武
と、イケモト刑事・波島進に東京出張を命じる。
※指名されてうれしそうな波島。
[3日目]7月12日
●朝の桜田門・警視庁前
波島が、通りを渡って警視庁にはいる。
●警視庁 2階 11号室・12号室「松島グリーンホテル殺人事件 應援捜査本部」
ひげを剃ってさっぱりした波島、白いハットをかぶり、ボストンバッグ片手に、
日活版事件記者でおなじみ、2階ホールの警察犬の像の前を通って応援本部へ。
迎える7人の刑事。
神田「夜行はお疲れになったでしょう。」
波島「いやあ、少し酒ば飲んできましたから。」(※なぜか九州弁が混じる。)
波島、神田に名刺を出しながら自己紹介。オガワタンテイチョウは、直接、白
浜・南海荘に向かった告げる。
千葉「タンテイチョウって?」
徳衛「デカ長のことだよ。部長刑事を地方じゃ、そう言うところもあるんだ。」
神田が波島に、配下の刑事たちを一人一人紹介する。
ナガタ部長刑事・堀雄二、ワタナベ刑事・須藤健、タカツ刑事・佐原広二、
カネコ刑事・山本麟一、ハヤシ刑事・花澤徳衛、ナカガワ刑事・千葉眞一。
波島が持参した、アベックの乗車券を基に、聞込みに出かける須藤と山麟。
※暑さに開け放たれた窓から、朝の都会の喧騒が部屋に響き、同時にラジオから
ニュースが流れている。このラジオも伏線、今回の重要なアイテムになる。
●野島埼 駐在所「千葉県警千倉警察署 白浜町白浜駐在所」
汗をふきふき、文武が駐在所にやってくる。
後ろから自転車で追いつく駐在・滝島孝二。腹ボテの妻・小甲登枝恵に変わっ
て買い物の帰り。
●本部
上野駅聞込みの須藤と山麟が帰るも、収穫なし。
・出札係も、接続する列車に乗務した東北線車掌も、覚えていないという。
堀が、遺留品の捜査結果を波島に告げる。
・靴ベラは配布数5万枚、ハンカチは30万枚で、検証不能。
波島は、30万と云ったら仙台の人口と一緒だ、と大東京のスケールに感服。
続いて、窓の下の道路を、ひっきりなしに行き来する自動車のイメージカット。
●南海荘 「白浜高校」高校野球東関東大会決勝壮行会の立て看板
対照的に、こちらはのどかな駐在所。
駐在・滝島曰く、南海荘の主人は「土地のボスでね」、選挙違反で捕まったこ
とがある。滝島は苦手な人物だが、「とにかくこれから行ってみましょう。」
細君の用意したサイダーを断って、滝島が先導する。
2階建ての瀟洒なホテルの玄関。
ユニフォーム姿の高校球児たちを、ボス・永田靖が激励して送り出していると
ころ。
永田は滝島の姿を認めると不快さをあらわ、
「おらァまだ、衆議院が解散したって話は聞かねえがね。」
滝島が、びくびくしながら文武を紹介する。
文武が、被害者の写真を永田に見せるが、いちいち客の顔など覚えてない、と
ニベもない。
続いて石鹸箱について尋ねると、
・改築記念に100個作って、上得意の団体にのみ配った。
・半分くらいは、まだ残っている。
と答えて、不承不承、その進呈先を調べ始めるのであった。
※永田の文机の上には「週刊ベースボール」。
●本部
神田が、波島を「食堂にでも」と誘おうとしたところ野島埼の文武から連絡が
はいって、石鹼箱の配布先が伝えられる。
・イワタデンキ24個、トウキョウゴムカコウ13個、後楽園のビール売り7個。
神田から割り当てられて散ってゆく刑事たち。
佐原「主任、ボクはまた留守番ですか?」
神田「ふふ、アタシもだよ。」
●イワタデンキ工場 堀、南
小嶋一郎、岡部正純ら、数名の工員たちが応対。旅行に参加した全員を集めま
しょう、と捜査に協力する。
※近代的な、電機メーカーの工場。
●トウキョウゴムカコウ 時計4:35 徳衛、波島
対して零細な町工場。
樹脂を型に流し込んだりしている女工たちに、石鹸箱をどうしたか尋ねている。
この時点で、2個は紛失。ただし、1個は割れている。
13名のうち、3名は退職。理由は、社長が風呂をのぞいたから。
徳衛「その3人の住所はわかるかな?」
徳衛は、乳パッドの乳首の部分を無意識に触っていて、女工たちが笑いだす。
波島「ハヤシさん、それ!」
徳衛「あ、こりゃにせおっぱいか!」
笑う若い娘たちに囲まれて、嬉しそうな徳衛の顔。
●後楽園球場(ナイター) 須藤、山麟
超満員の、巨人・大洋戦。凡退する背番号3(長嶋)。
スタンドのビールの売り子たちが集められている。
石鹸箱の所在を問われ、佐藤晟也が、妹にあげたが、今、松島方面に旅行中だ
と答える。気色ばんで須藤が写真を見せる。
晟也「と、とんでもねえ。ウチの妹はまだ中学3年生だよ。」
その時、アナウンス「5番、ファースト、王」とともに大歓声。
●夜の応援本部
探偵長・文武が、千葉の聞込みから、ようやく本部合流。
・石鹸箱は2個が行方不明。
詳しく聞こうとすると、「野球の雑誌かなんか見出して」、取り合ってくれ
ない。
文武「野球キチガイらしいんですよ。」
それを聞いた徳衛が、同病の須藤の方を見てニヤリ。
須藤「主任、それ、私に任せてくれませんか。」
神田は、改めて明日、須藤と文武に千葉出張を依頼する。
神田「では、ご苦労ですが。」
文武「いやあ、これはアタシの方の事件なんですから。」
神田「それじゃ、一杯いこうか。」
山麟、千葉、佐原の3人が、瓶ビールとコップを持ってくる。
山麟「冷えてますよ。」
★のマークのサッポロビール。
[4日目]7月13日
●キハ10系3連、海岸線を行く。
車内(ロケ)、窓際に向かい合った須藤と文武。
文武のズーズー弁を、通路側の女性たちが笑う。
須藤の広げるスポーツ紙の見出し。
報知新聞「巨人、逆転で権藤を攻略」
文武「ワタナベさんは、ジャイアンツファンですか。」
須藤「とんでもない、あたしゃ、理屈抜きでジャイアンツが嫌いでね。」
再び白浜・南海荘へ。文武と須藤。須藤、野球の話で永田の機嫌をとる。
永田「あんだ、また来たのかね。今日はあのひょっとこ駐在はどうした?」
須藤「ええ、今日はあたくしが。」
扇子片手に太鼓持ちはだし。
背広のポケットに突っ込んだスポーツ紙、まんまと永田の目に留まる。
須藤「あたくしは、理屈抜きでジャイアンツが好きでね。」
まんまと機嫌よを良くした永田から、紛失した2個の石鹸縛の行方を聴き出す。
・チップを多くくれた客に、キヌという女中の頼みで進呈したが、そのキヌは
既に退職。
●夜・元女中キヌの家 百姓家の玄関
夜、南海荘の元女中キヌ・谷本小代子を訪ねる文武と須藤。
※「遺留品なし」では、いい加減な記憶から捜査を混乱させた小代子。
谷本は、被害者の写真に見覚えは無かったが、宿帳から、石鹸箱をあげた人物
の特定に成功。
「ああ、この人だわ。」
・宿帳には、野村芳夫・弓子夫婦。
セリフにはないが、住所は東品川3-25と書かれている。
特徴をきかれても小代子にこれといった記憶はなかったが、
「でもあのふたり、夫婦でねえと思いますよ。」と、女中ならではのカン。
・旦那さんが一緒に風呂に誘ったが断わったし、
「そうでなくてもなんとなくわかるんですよ。」
●応援本部/塩釜署本部
・塩釜署の本部から、手配した、くのやの元番頭と元女中は、東京に向かった、
と電話。石島から。
・続いて、小代子の聞込み結果の電話。
神田「おう、ワタナベくんか。」
「住所は?」と聞きながらメモを取る。
指名されて、波島、堀、山麟、徳衛、千葉の5人が、飛び出してゆく。
後に残るのは、もちろん、神田と佐原。
●薄暗い町工場 波島、堀、山麟、徳衛、千葉
大勢の工員たちが汗だくで、熱せられたガラスに息を吹き込んでふくらませて
いる。電球らしきものが籠に積み上げられている。
徳衛「どこも景気がいいんだねえ。残業だよ。」
母屋に、「野村芳夫」を訪ねる堀と千葉。
玄関に出てきた山崎直衛に、堀は警察手帳を見せ、「奥さんは」どうしている
か問いただす。
山崎「ええ?僕はチョンガーですよ。」
5月に、アベックで松島へ行ったことは認めたが、婚約者とだという。小代子
のカン、当たり。被害者の写真を見せると、
山崎「あれ、これお姉さんじゃないですか?よく似てるんですよ。」
・弓子ではなく、姉のハツエだという。
あわてて、山崎と刑事たちが、車で姉妹の実家へ乗り付ける。(後の応援本部
で、徳衛が「ちょっとしたスラム」と表現する。)
●被害者ハツエの家
路地に車が着く。山崎がガラッと戸を開けて、大変だ、と入って行く。
玄関からすぐの座敷に坐っている殿山泰司と戸田春子。ちゃぶ台の上に寶焼酎
4合瓶。
ハツエが死んだと聞いて驚く2人。山崎の後ろに控えた刑事たちに、酩酊した
父・殿山が叫ぶ。
殿山「あんたたちは、いったい何だ?」
堀 「突然ですが、こういう者です。」と警察手帳を見せる。
そこへ、山崎の婚約者(ハツエの妹)の宮園順子、銭湯帰りの浴衣姿で登場。
宮園(湯屋帰りで浴衣姿)によれば、
・石鹸箱は宮園が、倹約家の姉、ハツエにあげたもの
・そして、ハツエは、40万円という貯金を、5日に下ろして、旅に出ていた。
堀が、ハツエの男関係について質問すると、母親の戸田が答える。
・あるとすれば勤め先か、町会議員に紹介された見合い相手くらい
●パチンコ「ラッキー」 堀、千葉
堀と千葉は、ハツエの勤め先へ。
応対する支配人・滝謙太郎。ポマード頭に白いYシャツ、蝶ネクタイのまじめ
そうな紳士。
堀 「実は、タニグチハツエさんが殺されましてね。」
滝 「えっ?」紳士同士の低いテンション。
2階に住み込む女店員たちの大部屋に案内する。階段を上がりながら、
滝 「パチンコ屋ってところは、ホールに場所を取られますんでね。」
着物をはだけてくつろぐ7〜8人の女たち、突然、支配人がやってきて、慌て
て身をただす。
滝 「お前たち、騒ぐんじゃない、刑事さんだよ。」
・地味な女性だったので、これといった男関係は思いつかないが、ヨネモトと
いう流れ者の釘師が親しくしていた
・ヨネモトの特徴も容疑者の風貌に近い
25歳くらい、色黒細面、ついでに毛深い
・ヨネモトの写真は手に入らなかった
※女店員たち、困惑しつつも、ハンサムな刑事・千葉に嬉しそう。
毛深い、という例えに引き合いに出される長嶋選手。
●警視庁 応援本部
聞込みの結果を報告しあう刑事たち。
徳衛をねぎらおうと、文武がタバコを差し出すと、「いや、あたしはこれで」
とキャラメルを出す。
徳衛が、被害者ハツエの家の様子を話す。
「それが、ちょいとしたスラムなんですよ。」
波島が、一つ屋根の下に住んでいても、心はバラバラ、と嘆く。両親は、娘に、
カネのある家へ婿入りさせることしか頭にない。姉のハツエは堅実、妹の宮園は、
「稼いだ分はパアっと使っちまう。」
山麟は上半身・裸。タオルで体を拭きながら話を聞いている。
結局、ヨネモトの写真は手に入らなかったが、持逃げ容疑で手配書を作成、関
係方面に配布することにして、本日の応援本部はお開き。
[5日目]7月14日
●朝の応援本部
朝、出来上がった手配書の内容が貧弱で、波島が首をひねる。
佐原が、ヨネモトの名前で前科照会から戻り、該当なし、と報告する。
そこへ、本部に被害者の父・殿山が素面でやって来る。労務社風の姿だが、昨
夜とは打って変わって殊勝な物言い。
・死亡届を出しに行ったら、ハツエの戸籍が抜かれて、名古屋に嫁いだことに
なっていた。
名古屋出身の山本麟一と、「宮城県警に敬意を表して」文武に出張が命ぜられる。
●名古屋テレビ塔イメージカット
●愛知県警
捜査第一課で迎える、山本麟一の中学同期、タカヤマ刑事・中山昭二、ベタベタの
名古屋弁。つられて山麟も、名古屋弁に戻る。
戸籍上の住所に夫婦は居住していないが、中山は、夫・「ハラヤマジロウ」のか
つての勤務先を突き止めていた。
・平和公園の先のパチンコ工場
※ということは、千種区あるいは現・名東区であろう
一面に墓の立ち並ぶ広大な丘陵地、平和公園を走る警察車。
戦後、市内の墓地をすべてここに集めたと聞かされて驚く文武。山麟と中山の話に花
が咲く。
山麟「こんだけ墓があったらよ、おみゃーもいつ死んでもさみしくなくてええわな。」
中山「おれがここに、ひやーたら(入ったら)よ、まあ交通にでも行って、毎晩、魂の
交通整理でもするでよ。」
●パチンコ工場 文武、山麟、中山
木造の零細工場、他と同様に汗だくで働く工員たち。
「おれ、アオタだがよ。」
、ハラヤマの素
性を知る、ランニング姿の小林寛が、刑事たちに呼ばれてやって来る。
小林「あいつも俺と同じ片親だわ。」
それがために、こんな勤め口しかないと嘆く。
・ハラヤマの母親は、彼の中学卒業後、男を作って妹だけ連れて逃げた。
・パチンコ工場で、器用さを見込まれて、退職して釘師になった。
・唯一の身寄りの妹が、ドラゴンというストリップ小屋にいる。
●ドラゴン舞台袖
中山「名古屋のストリップはどぎついですから。ほっておくと全ストまでやりますから
なも。」と聞かされ驚く文武。
ステージを下りて来たハラヤマの妹から、6日にハラヤマが会いに来たことを知るが、
その後の行方はわからない。
※プレスシート……原山ユカ役 高山美代子
●夜の警視庁・応援本部
煌々と明るい応援本部。
ちょうど、夕食の済んだところ。パチンコ屋関係を捜索していた刑事たちが、徒労に
終わって疲れた表情。店屋物の丼が乱雑に置かれている。堀は洋皿にコーヒーカップが
重なる。
ひとり元気な須藤は、ざるそばをすすりながら、イヤホンで野球中継を聴いている。
「打った打った、オオヒガシ!」
神田がほほえみながら、ラジオのスイッチを入れる。
そこに、名古屋の山麟から電話報告。
●愛知県警
電話の向こうでは、ひっそりと薄暗い部屋で、文武と中山がスイカをかじる。文武は
几帳面に種を気にする。
パチンコ工場で手に入れたハラヤマの写真を、愛知県警から警視庁に電送したとのこ
と。
山麟は水虫薬を足に塗っている。
●応援本部
ほどなく、電送でハラヤマ・潮健児の顔写真が届く。
早速、写真をで手配を指示するが、同時に、朝の手配書から情報がはいる。蒲田のパ
チンコ屋に、ハラヤマ・潮らしき男がいるという。
神田の命令で急行する、堀、波島、徳衛、須藤、千葉。
佐原「主任、ボクは?」
神田「フフフッ。」
●蒲田駅前〜ひかりパチンコ
改札口で巡査が刑事たちを出迎え、「ひかりパチンコ」という店に案内する。
入り口近くのカウンターに腰かけて、爪を磨いたいた潮健児。
堀 「ハラヤマジロウだな?殺人容疑で逮捕する!」
驚いて、パチンコ玉をまきながら逃げる潮をはさみうち、警視庁の応援本部に連行す
る。
※案内する巡査、萩原正勝。蒲田駅前では顔の正面が映るも暗くて定かではないし、店
の前では後ろ姿のみちらり。しかしずんぐりした風貌と、彼の声。
プレスシートには名前があるが、クレジットなし。
●応援本部
「なんとか言ったらどうなんだい?」
問いただす神田。
椅子に斜めに体を預けて、潮は、黙秘(犯行を否認)。
「言えないなら教えてやろうか。」
神田が、8日に上野から列車に乗って、と足取りを説明すると怪訝そうな顔。
潮曰く、事件当日は、清水にいたと。蒲田のパチンコ屋で逃げようとしたのは、清水
で傷害事件を起こしたからだという。
潮 「清水銀座のジロチョウっていう」
神田「ふふん、次郎長か。」鼻白む。
・潮は、ハツエに惚れていたが、ハツエには「カワサキイチロウ」という彼氏がいた。
彼女は、交通事故を起こしたカワサキの入院費をたてかえたりしていた。
ハツエがカワサキと結婚できないように、籍を勝手に入れたのだと自供。
佐原、受話器を取って「静岡、清水署捜査係。」
潮のアリバイを清水署に照会、返事を待つ。
一方、カワサキの素性を探すべく、交通課(庶務係)の膨大な事故記録からカワサキ
イチロウの名前を探し出そうと、堀に促され、波島、徳衛、須藤、千葉が出てゆく。
一緒に出ようとする佐原に神田、「オイ、キミは留守番!」
●庁内「交通課 庶務係」
堀 「7月5日より後のは、いらんぞ。」
「108号車」以来の、地道な台帳チェック。
●応援本部
夜半、清水署からの折り返し連絡を待つ留守番の神田と佐原の元に電話。
神田「上野署?」
上野署・関山耕司から、手配中のくのや旅館の番頭・女中を逮捕したとの報せ。犯人
の顔を知る重要な参考人である。
留守番刑事タカツ・佐原、ようやく出番。潮の写真を手に飛び出してゆく。
がらんとした捜査本部、一人残って少し物憂げな主任神田。上半身は肌着1枚で窓辺
にたたずむ。
※上野署の取調室でうなだれるアベック。プレスシートによれば、
……番頭 轟謙二、女中 稲益美弥子
明け方、ようやく川崎一郎の事故記録が見つかり、住所と勤務先が判明。
潮の写真を手に面通しに行った佐原が戻るが、犯行前夜、塩釜に泊まったアベックの
男ではないという。
[6日目]7月15日 事件解決
●朝
眠る間もなく、カワサキの自宅(足立区西新井「梅田町」)へ張込みに行く波島、
徳衛、須藤。
堀と千葉は、勤め先の「阿部運輸」(港区三田)へ。
佐原は、あらためて上野署にカワサキの免許写真を持って面通しに。
再び一人になった神田、今度は頼もしい顔。
◆つづく◆
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